こんにちは!着物や和服と聞くと、なんだか敷居が高いな…と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、実はとっても奥が深くて楽しい世界なんです。特に、着物姿の印象を大きく左右するのが「履物」。草履(ぞうり)や下駄(げた)といった和装履物は、洋服でいうところの靴と同じくらい、いえ、それ以上に重要な役割を持っているんですよ。
この記事では、そんな和服の履物の世界について、特定の商品紹介やランキングなどを一切行わず、純粋にお役立ち情報だけをたっぷりとお届けします。宣伝は一切ありませんので、安心して読み進めてくださいね。「どんな種類があるの?」「TPOってどう考えればいいの?」「痛くならない方法はある?」など、皆さんの疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。この記事を読み終える頃には、あなたもきっと和装履物の魅力にどっぷりハマっているはず。さあ、一緒に足元から始める着物入門、スタートです!
まずは知っておきたい!和装履物の基本中の基本
和服を着るときに足元を飾る履物。ひとくちに「和装履物」と言っても、実はたくさんの種類があります。まずは、代表的な「草履」「下駄」「雪駄」の3つの基本を押さえておきましょう。それぞれの特徴や役割を知ることで、着物ライフがもっと楽しくなりますよ。
草履(ぞうり)ってどんなもの?
和装履物の代表格といえば、なんといっても草履です。結婚式のようなフォーマルな場から、普段のお出かけまで、幅広いシーンで活躍します。まずは、その基本的な構造から見ていきましょう。
草履は、足を乗せる平らな部分である「天(てん)」、その側面をぐるりと巻いている「巻(まき)」、そして全体の芯となる「芯(しん)」で構成される台に、指で挟むための「鼻緒(はなお)」がすげられています。底には、滑り止めや耐久性のためのゴムなどが貼られていることが多いです。この構造は、一見シンプルに見えますが、素材や厚み、形の組み合わせで、履き心地や格が大きく変わってくるんですよ。
草履は大きく分けて、礼装用と普段用に分けられます。礼装用の草履は、金や銀、白などを基調とした布製(佐賀錦や帯地など)やエナメル、本革などが使われ、格式高い雰囲気をまとっています。かかとも高めに作られているものが多く、フォーマルな装いに華やかさと重厚感を添えてくれます。一方、普段用の草履は、素材や色の自由度が高く、コルクやウレタン、帆布など様々な素材で作られています。デザインも豊富で、着物に合わせてコーディネートを楽しむことができます。
このように、草履選びで最も大切なのはTPO(時・場所・場合)をわきまえることです。結婚式に普段着用のカジュアルな草履を履いていったり、逆におしゃれ着に格式高すぎる草履を合わせたりすると、ちぐはぐな印象になってしまいます。まずはこの「格」の違いを理解することが、草履マスターへの第一歩です。
下駄(げた)の魅力と特徴
カランコロンという軽やかな音。夏の風物詩である浴衣に合わせる履物として、下駄を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。木でできた台に、歯と呼ばれる突起物がついているのが大きな特徴です。この歯があるおかげで、地面から高さが生まれ、着物の裾が汚れるのを防いでくれます。
下駄も草履と同じく、木でできた「台(だい)」、地面に接する「歯(は)」、そして「鼻緒(はなお)」から成り立っています。台の形や歯の形状によって、様々な種類に分けられます。
- 駒下駄(こまげた):最も一般的な二枚歯の下駄です。「ゲゲゲの鬼太郎」が履いているのをイメージすると分かりやすいかもしれません。歩くと特徴的な音がします。
- 右近下駄(うこんげた):草履のような形で、底がゆるやかなカーブを描いています。歯がなく、底全体が地面に接するため、現代の道路でも歩きやすく、普段履きとして人気があります。スニーカーのような感覚で履けるものもあります。
- 千両下駄(せんりょうげた):前の歯が斜めにカットされているのが特徴です。前のめりに歩く「のめり」という形で、粋な履きこなしができるとされています。もともとは芝居役者が好んで履いたことからこの名がついたとか。
浴衣に合わせるイメージが強い下駄ですが、実は普段着の着物(小紋や紬など)にも合わせることができるんです。素足で履くのが基本なので、夏場のカジュアルな装いにぴったり。涼しげで軽快な足元を演出してくれます。最近では、デザインも多様化していて、洋服に合わせてもおしゃれなものがたくさんあります。鼻緒のデザインで個性を出せるのも、下駄の楽しいところですね。
雪駄(せった)は粋な男性の履物?
「せった」という言葉、聞いたことがありますか?雪駄は、一見すると草履によく似ていますが、独特の特徴を持つ履物です。もともとは茶人・千利休が、雪の日や露地(茶庭)を歩くために考案したという説があり、草履の裏に皮を張り、かかとに「尻鉄(しりがね)」と呼ばれる金具を打って耐久性を高めたのが始まりとされています。
草履との大きな違いは、この底の構造です。雪駄の底は、革や合成皮革で覆われており、水が染み込みにくくなっています。そして、歩くたびに「チャッチャッ」と小気味よい音を立てる尻鉄は、雪駄ならではの粋なアクセント。この音に憧れて雪駄を選ぶ方もいるほどです。
主に男性用の履物として知られており、着物姿の男性の足元をキリッと引き締めてくれます。素材は、竹皮を編んだもの(竹皮表)や、い草を使ったもの(畳表)が代表的です。竹皮表は丈夫で足触りが良く、畳表はさらりとした感触が特徴です。鼻緒の素材も、印伝(いんでん)や革、布製など様々で、台との組み合わせによって印象が大きく変わります。
近年では、女性がおしゃれとして履けるようにデザインされた、カラフルでモダンな雪駄も登場しています。草履よりも少しマニッシュで、粋な雰囲気を楽しみたい女性におすすめです。もちろん、その履きやすさと丈夫さから、普段履きとして愛用する男性も少なくありません。
その他の和装履物たち
草履、下駄、雪駄の他にも、和装の世界にはユニークな履物が存在します。ここでは、特に知っておきたい二つをご紹介します。
一つ目は「ぽっくり下駄」。舞妓さんが履いている、あの背の高い下駄をイメージしてください。正式には「おこぼ」とも呼ばれます。厚い桐の台をくり抜いて作られており、歩くと「こっぽり、こっぽり」と独特の音がすることから、その名がついたと言われています。主に七五三のお祝いの際に、女の子が履く履物としてもおなじみですね。高さがあるため、慣れないうちは歩くのが少し大変ですが、晴れの日の装いを一層可愛らしく、華やかに見せてくれます。
二つ目は、履物そのものではありませんが、和装の足元に欠かせない「足袋(たび)」です。指先が親指と他の四指に分かれているのが特徴で、鼻緒のある履物を履くために必須のアイテムです。足袋と一言で言っても、実は奥が深いんです。
- こはぜ:足首の後ろを留める爪型の金具のこと。この数が4枚のものが一般的ですが、3枚(動きやすい)、5枚(よりフォーマル、足首をしっかり見せる)などがあります。
- 素材:キャラコやブロードといった木綿が基本ですが、伸縮性のあるストレッチ素材、夏用の麻、冬用のネル裏など、季節や用途に合わせて様々な素材があります。
- 色:礼装では白足袋を履くのが絶対的な決まりです。しかし、普段着の着物では、色足袋や柄足袋でおしゃれを楽しむことができます。着物の色と合わせたり、あえて差し色にしたりと、コーディネートの幅がぐっと広がります。
足袋は、自分の足にぴったり合ったサイズを選ぶことがとても重要です。サイズが合わないと、着姿が美しく見えないだけでなく、歩きにくさの原因にもなります。履物と合わせて、足袋選びにもぜひこだわってみてください。
シーン別!失敗しない和装履物の選び方
和装履物の基本がわかったところで、次はいよいよ実践編です。どんなに素敵な着物を着ていても、足元の履物がTPOに合っていなければ、全体の印象が台無しになってしまうことも…。ここでは、具体的なシーンを想定して、どんな履物を選べば良いのかを詳しく解説していきます。これさえ押さえれば、もう履物選びで迷うことはありません!
【礼装・フォーマル編】結婚式やお茶会での足元
結婚式や披露宴への列席、格式のあるお茶会、入学式や卒業式、授賞式など、フォーマルな場面では、履物にも厳格なマナーが求められます。主役より目立つことなく、かつ、その場にふさわしい品格を添える。そんな履物選びのポイントを見ていきましょう。
留袖・訪問着に合わせる草履
既婚女性の第一礼装である黒留袖や色留袖、そして準礼装である訪問着を着用する際には、それにふさわしい格の草履を選びます。基本となるのは、金や銀を基調とした、格調高いデザインのものです。台の素材は、帯地や佐賀錦などの織り生地や、光沢のあるエナメル、品の良い本革などが使われます。
ここで重要になるのが、かかとの高さです。一般的に、かかとが高いほどフォーマル度が高いとされています。礼装用の草履は、5cm以上の高さがあるものが主流です。これは、見た目の美しさや格の高さを表現するだけでなく、長い裾の礼装が地面に擦れるのを防ぐという実用的な意味合いもあります。芯が何層にも重なった「三枚芯」や「四枚芯」といった草履は、見た目も豪華で、まさにフォーマルな場にぴったりです。
また、礼装の場合、草履とバッグをセットで揃えるのが一般的です。同じ生地やデザインで作られた「草履バッグセット」は、統一感があり、コーディネート全体をすっきりと格上げしてくれます。バッグのデザインも、留袖には金銀の格調高いものを、訪問着には少しデザイン性のあるものを選ぶなど、着物の格に合わせて選ぶと良いでしょう。
振袖に合わせる華やかな草履
未婚女性の第一礼装である振袖。成人式や結婚式のお呼ばれなどで着用する、最も華やかな着物です。そんな振袖に合わせる草履も、やはり特別感のあるものを選びたいですよね。
振袖用の草履は、他の礼装用に比べて、より華やかでデザイン性が高いのが特徴です。台には豪華な刺繍が施されていたり、蒔絵のような美しい飾りが付いていたりします。かかとも非常に高く作られており、スタイルアップ効果も期待できます。「厚底」と呼ばれる、台全体が高いものも人気があります。
選び方のポイントは、振袖の色柄に合わせること。振袖や帯に使われている色を一色拾って草履の色を選ぶと、まとまりのあるコーディネートになります。例えば、赤い振袖に金の帯なら、鼻緒に赤が入った金の草履を選ぶ、といった具合です。バッグもセットで揃えるのが基本ですが、振袖の場合は特に、全体の調和を考えて選ぶことが大切です。主役である振袖の美しさを、足元からしっかりと引き立ててあげましょう。
【普段着・カジュアル編】お出かけや普段使いに
フォーマルな場とは打って変わって、普段のお出かけや街歩きでは、もっと自由に足元のおしゃれを楽しむことができます。ルールに縛られすぎず、自分の個性やその日の気分で履物を選んでみましょう。
小紋・紬に合わせる草履
おしゃれ着の代表格である小紋や、普段着として親しまれている紬。これらの着物に合わせる草履は、素材や色の自由度がぐっと高まります。礼装用のような金銀ピカピカのものではなく、着物の世界観に合わせた、しっとりと落ち着いたものや、遊び心のあるデザインが似合います。
台の素材も、エナメルや布製だけでなく、コルク、帆布(はんぷ)、デニム地など、実にさまざま。かかとの高さも、歩きやすさを重視して低めのものを選ぶ方が多いです。特に、底にウレタン素材を使ったウレタン草履は、軽くてクッション性があり、長時間歩いても疲れにくいのが特徴。雨に強いものも多く、天気を気にせずお出かけできるので、一足持っていると非常に重宝します。まさに、現代のライフスタイルに合ったカジュアル草履と言えるでしょう。
色選びも楽しみの一つ。着物の柄から一色取ったり、帯締や帯揚げといった小物と色をリンクさせたり。あえて反対色を選んで、コーディネートのアクセントにするのも上級者のおしゃれです。季節に合わせて素材感を変えるのも素敵ですね。例えば、夏にはパナマや麻といった涼しげな素材の草履を選ぶと、見た目にも涼感がアップします。
浴衣に合わせる下駄
夏のお楽しみ、浴衣。その足元には、やはり下駄が一番しっくりきます。素足に下駄を履き、カランコロンと音を立てて歩くのは、夏ならではの心地よさがありますよね。
浴衣に合わせる下駄選びは、とにかく自由! 浴衣の雰囲気に合わせて、好きなデザインを選ぶのが一番です。古典的な柄の浴衣には、焼き桐の台に落ち着いた鼻緒の下駄を合わせるとしっとりとした印象に。ポップで現代的な柄の浴衣なら、カラフルな塗りの台や、個性的な柄の鼻緒の下駄で思いっきり遊んでみるのも楽しいでしょう。
特に、鼻緒の色柄は個性を出す絶好のポイントです。シンプルな浴衣に、あえてビビッドな色の鼻緒を合わせてアクセントにしたり、浴衣の柄と鼻緒の柄をリンクさせたりと、コーディネートの可能性は無限大です。最近では、鼻緒にレースやフリルが付いた可愛らしいデザインの下駄もたくさんあります。
下駄は素足で履くのが基本ですが、最近ではレース足袋などを合わせて、よりおしゃれに履きこなすスタイルも人気です。足袋を一枚履くだけで、少しよそゆきの雰囲気が出るだけでなく、鼻緒ずれの予防にもなります。自分らしいスタイルで、浴衣と下駄のコーディネートを存分に楽しんでください。
知っておくと差がつく!履きこなし術と豆知識
自分にぴったりの履物が見つかったら、次は「いかに美しく、快適に履きこなすか」が重要になります。ちょっとしたコツを知っているだけで、見た目の印象が格段にアップし、足の痛みも軽減できます。ここでは、周りと差がつく履きこなしの秘訣と、知っておくと便利な豆知識を伝授します!
美しい履き方と歩き方
和装履物を履くとき、洋靴と同じ感覚で足全体をすっぽり入れていませんか?実は、和装履物ならではの美しい履き方があるんです。それは、「かかとを1cmほど出して履く」というもの。これには、着物の裾を踏んづけたり、汚したりしないようにするため、という実用的な理由があります。そして何より、この少しはみ出したかかとが「粋」な履き方とされているのです。履物からかかとが少しのぞくことで、足元がすっきりと見え、こなれた印象を与えます。
歩き方も重要です。洋服の時のように大股でがしがし歩くのはNG。少し内股気味を意識し、すり足に近い感覚で歩くのが、着物姿を美しく見せるコツです。背筋をすっと伸ばし、歩幅は小さめに。こうすることで、着物の裾が乱れにくく、優雅でしとやかな立ち居振る舞いに見えます。
意外と難しいのが、階段の上り下りです。上る時は、つま先を少し外側に向け、裾を踏まないように少し持ち上げながら、一段ずつゆっくりと。下りる時も同様に、体を少し斜めにしながら、裾が階段に触れないように気をつけましょう。慌てず、ゆったりとした動作を心がけることが、美しさの秘訣です。
痛くならないための秘訣
和装履物で一番の悩みといえば、やはり「鼻緒ずれ」ですよね。特に、新品の履物をおろした日に、痛い思いをした経験がある方も多いのではないでしょうか。でも、大丈夫。いくつかの秘訣を知っておけば、痛みはかなり軽減できます。
まず、新品の草履や下駄を履く前には、必ず準備運動をさせましょう。鼻緒の前坪(親指と人差し指で挟む部分)と、左右の付け根部分を、優しく揉みほぐします。ぐいぐいと引っ張るのではなく、指でゆっくりと広げるようにして、自分の足の形に馴染ませるイメージです。これをするだけで、履き心地が格段に変わります。
それでも痛い場合は、鼻緒の調整(すげ替え)を検討しましょう。特に、呉服店や履物専門店で購入したものであれば、専門の職人さんがあなたの足に合わせて鼻緒のキツさを調整してくれます。これを「鼻緒をすげる」と言います。自分の足にぴったりと合った履物は、驚くほど歩きやすく、疲れにくいものです。既製品が合わないと感じたら、ぜひ専門家に相談してみてください。
応急処置としては、痛くなりそうな場所にあらかじめ絆創膏を貼っておくのが効果的です。また、最近では鼻緒ずれ防止用の透明なジェルパッドや、指の間に挟むシリコン製のカバーなど、便利なグッズもたくさん市販されています。お守り代わりに一つ持っておくと安心ですね。
サイズ選びのポイント
洋靴と違い、和装履物のサイズ表記は少し分かりにくいかもしれません。「Mサイズ」「Lサイズ」といった表記が一般的ですが、具体的に何cmに対応するのか、迷ってしまいますよね。
まずは、一般的なサイズ対応の目安を知っておきましょう。もちろん、メーカーや商品のデザインによって多少の違いはありますので、あくまで参考としてください。
| 表記サイズ | 対応する足のサイズ(目安) |
| Sサイズ | 約21.5cm ~ 22.5cm |
| Mサイズ | 約22.5cm ~ 24.0cm |
| Lサイズ | 約24.0cm ~ 25.0cm |
| LL(2L)サイズ | 約25.0cm ~ 26.0cm |
| 3Lサイズ | 約26.0cm ~ |
前述の通り、和装履物はかかとを少し出して履くのが基本なので、台の長さが自分の足の実際の長さよりも5mm~1cm短いくらいがジャストサイズとされています。例えば、足のサイズが23.5cmの方なら、台の長さが23cm前後のMサイズがちょうど良い、ということになります。
実際に試着する際は、以下の点をチェックしましょう。
- かかとが1cm程度はみ出すか。はみ出しすぎても、すっぽり収まりすぎてもNGです。
- 前坪と指の間に、少し隙間があるか。ここがキツすぎると、すぐに痛くなってしまいます。
- 足の甲が、鼻緒にきつく当たっていないか。足の甲が高い人は、鼻緒が緩めのものを選ぶか、調整してもらう必要があります。
足の形は人それぞれ。幅が広い「幅広」タイプや、甲が高い「甲高」タイプなど、自分の足の特徴を把握しておくことも、快適な一足を見つけるための大切なポイントです。
長く愛用するためのお手入れと保管方法
お気に入りの履物は、できるだけ長く、きれいな状態で使いたいものですよね。和装履物は、きちんとお手入れをして正しく保管すれば、何年も、場合によっては十年以上も愛用することができます。ここでは、大切な履物を長持ちさせるための、日々のお手入れと保管のコツをご紹介します。
履いた後のお手入れ
お出かけから帰ってきたら、履物をしまう前にほんのひと手間かける習慣をつけましょう。基本は、乾いた柔らかい布で、全体の汚れやホコリを優しく拭き取ることです。特に、台の裏や側面は、意外と汚れているもの。鼻緒も、汗や皮脂が付着しやすいので、忘れずに拭いてください。
ただし、素材によっては少し注意が必要です。
- 布製(織物など):強くこすると生地を傷める原因になります。ブラシなどでホコリを払うのがおすすめです。シミができてしまった場合は、自分でなんとかしようとせず、専門店に相談するのが賢明です。
- 革製・エナメル製:専用のクリーナーやクリームを使って拭くと、光沢が保たれ、ひび割れなどを防ぐことができます。エナメルは特に、他のものと密着させておくと色移りすることがあるので注意が必要です。
- コルク・畳表・パナマ:これらは水分に非常に弱い素材です。水拭きは絶対に避け、乾いた布で丁寧に拭くだけにしましょう。湿気がこもらないように、風通しの良い場所で陰干ししてからしまいます。
- 下駄(白木):白木の下駄は、汚れがつきやすいのが難点。消しゴムで軽くこすると、ある程度の汚れは落ちることがあります。ただし、これも強くこすりすぎないように注意してください。
万が一、雨の日に履いて濡れてしまった場合は、すぐに乾いたタオルで水分を叩くように拭き取ります。その後、風通しの良い日陰で、完全に乾かしてください。ドライヤーの熱を当てたり、直射日光に当てたりするのは、変形やひび割れの原因になるので絶対にやめましょう。
長期保管のコツ
シーズンが終わり、次の出番まで長期間しまっておく場合、保管方法が履物の寿命を大きく左右します。和装履物にとって最大の敵は「湿気」です。湿気は、カビやシミ、素材の劣化の原因となります。
保管場所は、風通しが良く、直射日光が当たらない場所を選びましょう。下駄箱にしまう場合は、ぎゅうぎゅうに詰め込まず、履物同士がくっつかないようにスペースを空けてください。購入時に入っていた箱に入れて保管するのも良い方法ですが、その場合は箱を密閉せず、時々蓋を開けて空気を入れ替えてあげることが大切です。箱の中に、着物用の乾燥剤を一緒に入れておくのも効果的です。
また、型崩れを防ぐための工夫も忘れずに行いましょう。鼻緒の部分に、丸めた和紙や専用のキーパーを挟んでおくと、鼻緒の形が崩れるのを防ぎ、次に履くときも足入れがスムーズになります。ビニール袋に入れて保管するのは、湿気がこもるので絶対に避けてくださいね。
修理はできる?
「かかとのゴムがすり減ってしまった」「鼻緒が緩んできた」…。そんな時、「もう寿命かな」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません。実は、和装履物の多くは修理が可能なんです。洋靴と同じように、きちんとメンテナンスをすれば、さらに長く履き続けることができます。
最も多い修理は、かかとのゴムの交換です。歩き方の癖などですり減ってしまったゴムは、比較的簡単に交換してもらえます。ゴムがすり減ったまま履き続けると、台の芯まで傷つけてしまうことがあるので、早めに修理に出しましょう。
また、前述した鼻緒の調整や、すげ替えも代表的な修理の一つです。鼻緒が緩んだり、逆にきつくて痛い場合だけでなく、鼻緒のデザインに飽きてしまった時に、まったく違う鼻緒に交換してイメージチェンジを楽しむこともできます。台はまだ綺麗なのに、鼻緒だけが傷んでしまった、という場合にも有効です。台と鼻緒を別々に選び、自分だけの一足をオーダーメイドすることも可能なんですよ。
これらの修理は、呉服店や履物専門店、デパートの和装小物売り場などで相談することができます。どこに頼めば良いか分からない場合は、まずは購入したお店に問い合わせてみるのが一番です。愛着のある一足を、修理しながら大切に履き続ける。これもまた、和装の素敵な文化の一つと言えるでしょう。
Q&A よくある質問コーナー
ここでは、和装履物に関して、お客様からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめてみました。皆さんの小さな疑問や不安も、ここで解決できるかもしれません。
- 草履と下駄、どうやって使い分ければいいの?
一番簡単な見分け方は「足袋を履くかどうか」です。一般的に、足袋を履く着物には草履、素足で着る浴衣には下駄を合わせます。ただし、これは基本のルール。普段着の着物に素足で下駄を合わせることもありますし、最近では浴衣に足袋と草履を合わせて、夏着物風に着こなすスタイルもあります。TPOさえ間違えなければ、ある程度自由に楽しんでOKです。
- 草履や下駄って、素足で履いてもいいの?
下駄は素足で履くのが基本です。浴衣の時は、ぜひ素足でその感触を楽しんでください。一方、草履は足袋を履いて着用するのがマナーです。特にフォーマルな場面では白足袋が必須。カジュアルな場面でウレタン草履などを履く際に、素足で履く方もいらっしゃいますが、基本的には足袋とセットと覚えておきましょう。
- 履物に左右ってあるの?
実は、新品の草履や下駄には左右の区別がありません。どちらの足で履いても大丈夫です。しかし、履いているうちに、自分の足の形や歩き方の癖に合わせて、鼻緒が少し内側に傾いてきます。そうなると、自然と左右が決まってきます。一度履いたら、次回からも同じ左右で履くようにすると、より足に馴染んで履きやすくなりますよ。
- お出かけ中に鼻緒が切れたら縁起が悪いって本当?
これは昔からの迷信で、「出先で鼻緒が切れると縁起が悪い」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは「大切な履物のお手入れを怠っていると、いざという時に困りますよ」という、昔の人の戒めのようなもの。決して不吉なことではありません。万が一に備えて、カバンに安全ピンや小さな紐を忍ばせておくと、応急処置ができて安心です。
- 現代のファッションに和装履物を取り入れることはできる?
もちろんです!最近では、ジーンズやワンピースなどの洋服に、下駄や雪駄を合わせるおしゃれな方が増えています。特に、右近下駄のようなモダンなデザインのものや、カラフルな雪駄は、洋服との相性も抜群。足元にちょっと「和」のテイストを取り入れるだけで、ぐっと個性的なスタイルになります。ぜひ、自由な発想でファッションを楽しんでみてください。
まとめ
いかがでしたか?今回は、和装履物の世界を、商品の宣伝一切なしで、その魅力や知識に焦点を当てて深掘りしてみました。草履、下駄、雪駄といった基本的な種類から、TPOに合わせた選び方、美しい履きこなし術、そして長く愛用するためのお手入れ方法まで、盛りだくさんでお届けしました。
和装履物は、単に着物を着るための道具ではありません。その一つひとつに歴史や文化があり、職人の技が込められています。そして、TPOやマナーを大切にしながらも、自分の個性を表現できる、とてもクリエイティブなアイテムでもあるのです。
この記事が、皆さんと和装履物の素敵な出会いのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。「難しそう」というイメージが、少しでも「楽しそう」「試してみたい」に変わっていたら幸いです。さあ、あなたも足元から、奥深く美しい和服の世界へ、一歩踏み出してみませんか?

