冬のコーディネートの主役であり、私たちの体を寒さから守ってくれる心強い相棒、それが「コート」です。クローゼットを開ければ、きっと一着はお持ちではないでしょうか。でも、いざ新しいコートを買おうとお店に行くと、あまりの種類の多さに「一体どれを選んだらいいの?」と頭を抱えてしまう…なんて経験、ありませんか?
トレンチコート、チェスターコート、ダウンコート…。デザインも違えば、素材も様々。値段も決して安くはないからこそ、失敗したくないし、できることなら長く愛用できる「一生モノ」に出会いたいですよね。
この記事では、特定の商品を一切紹介することなく、純粋に「コート選びに役立つ知識」だけを、これでもかというほど詰め込みました。コートの基本的な知識から、種類別の詳しい解説、素材の違い、後悔しないためのチェックポイント、そして購入後の長持ちさせるお手入れ方法まで、網羅的にご紹介します。この記事を読み終える頃には、あなたもきっと「コート博士」になっているはず。そして、膨大な選択肢の中から、自分のライフスタイルや好みにぴったり合った、最高の相棒を見つけ出すことができるようになっているでしょう。それでは、奥深いコートの世界へ、一緒に旅に出かけましょう!
まずは知っておきたい!コートの基本
多種多様なコートの世界に足を踏み入れる前に、まずは「基本のき」からおさらいしておきましょう。コートの定義や役割を理解することで、自分にとって本当に必要な一着が見えてきますよ。
コートってそもそも何?ジャケットとの違いは?
普段、何気なく「コート」と呼んでいますが、ジャケットとはどう違うのでしょうか。実は、明確に「ここからがコート」という厳密な定義があるわけではありません。一般的には、「ジャケットの上にも羽織れる、一番外側に着る防寒用の衣類」をコートと呼ぶことが多いです。丈の長さも重要なポイントで、ヒップが隠れるかそれ以上の長さのものをコート、それより短いものをジャケットと区別する傾向があります。
コートの最も大切な役割は、もちろん「防寒」です。冷たい風や雪、雨から体を守り、暖かさをキープしてくれます。しかし、それだけではありません。コートは冬の装いの中で最も面積が大きく、その人の印象を大きく左右する「ファッションアイテム」としての役割も担っています。だからこそ、機能性だけでなく、デザインやシルエットにもこだわりたいのです。
あなたに合うコートはどれ?ライフスタイル別・選び方のヒント
素敵なコートを見つけても、自分の生活スタイルに合っていなければ、タンスの肥やしになってしまうかもしれません。コートを選ぶ最初のステップは、「どんな場面で、どんな風に着たいか」を具体的にイメージすることです。あなたのライフスタイルに寄り添うコート選びのヒントをいくつかご紹介します。
- 電車やバスでの通勤・通学がメインの方
軽くて動きやすいものがおすすめです。満員電車の中で汗をかくこともあるので、分厚すぎるダウンコートよりも、ウール素材のチェスターコートやステンカラーコートの方が使いやすいかもしれません。着席時にシワになりにくい素材を選ぶのもポイントです。 - 車での移動が多い方
運転のしやすさを考えると、丈が長すぎないショート丈やミドル丈のコートが便利です。Pコートやキルティングコートなどが良いでしょう。乗り降りの際にさっと羽織れる手軽さも魅力です。 - 休日のお出かけやショッピングで着たい方
ファッション性を重視して、お気に入りのデザインを選びましょう。トレンド感のあるノーカラーコートや、リラックス感のあるガウンコートなども素敵です。着ていて気分が上がる一着を見つけるのが一番です。 - 子供と公園で遊んだり、アウトドアを楽しんだりする方
暖かさはもちろん、動きやすくて汚れに強いコートが必須です。保温性の高いダウンコートや、撥水加工が施されたモッズコートなどが活躍します。汚れても自宅で洗いやすい素材だと、さらに心強いですね。
このように、自分の主な活動シーンを思い浮かべることで、選ぶべきコートの種類や機能が自然と絞られてきます。まずはご自身の生活を振り返ってみることから始めてみましょう。
【種類別】定番コートのデザインと特徴を徹底解説
ここからは、いよいよコートの具体的な種類について、一つひとつ詳しく見ていきましょう。それぞれのコートが持つ歴史やデザインの背景を知ると、より一層愛着が湧いてきますよ。あなたの「好き」が見つかるはずです。
トレンチコート
春と秋のコートの代名詞とも言える「トレンチコート」。その起源は、第一次世界大戦中にイギリス軍の兵士が塹壕(トレンチ)で着用していた防水型の軍用コートにあります。まさに、その歴史が名前の由来になっているのです。
デザインの特徴は、ミリタリーウェアとしての機能美に溢れています。肩にある「エポレット」は、もともと水筒や双眼鏡を吊るしたり、階級章をつけたりするためのものでした。胸元の「ガンフラップ」は、雨の侵入を防ぎ、銃を撃った際の衝撃を和らげるためのもの。ウエストの「Dリング」は、手榴弾などを下げるために使われていたと言われています。こうした一つひとつのディテールに意味があり、それがトレンチコートの普遍的なデザインの魅力につながっています。
着こなし次第で、フォーマルにもカジュアルにも対応できる万能性が最大の強み。スーツの上に羽織れば凛々しいビジネススタイルに、デニムやパーカーと合わせればこなれたカジュアルスタイルが完成します。ベルトの結び方一つで印象を変えられるのも楽しいポイントです。
ステンカラーコート
「ステンカラーコート」は、和製英語という説もあり、その名は後ろ襟が高く、前に向かって低い位置で折り返る「スタンドフォールカラー(Stand Fall Collar)」に由来すると言われています。
デザインの特徴は、そのシンプルさと機能性にあります。ボタンが隠れる「比翼仕立て(フライフロント)」になっているものが多く、すっきりとした見た目が特徴です。また、肩のラインがなだらかに見える「ラグランスリーブ」が採用されることも多く、これにより腕が動かしやすく、ジャケットの上からでも羽織りやすいという利点があります。装飾が少ない分、シルエットの美しさが際立ちます。
トレンチコート同様、ビジネスシーンから普段使いまで幅広く活躍する一着です。特に、そのクリーンで知的な印象は、スーツスタイルとの相性が抜群。色や素材を選べば、春、秋、そして冬と、長いシーズンで着用できるのも魅力です。
チェスターコート
「チェスターコート」は、19世紀に英国のチェスターフィールド伯爵が初めて着用したことが名前の由来とされています。今ではメンズ・レディースを問わず、冬の定番コートとして絶大な人気を誇ります。
デザインの特徴は、背広(ジャケット)の丈を長くしたような、ドレッシーで格調高い見た目です。V字に開いたノッチドラペル(襟の刻み)が特徴で、フォーマルな印象を与えます。もともとは男性の礼装用コートであったため、シルエットは細身でスタイリッシュなものが多いです。
その上品な佇まいは、きれいめなコーディネートにぴったり。ウールやカシミヤなどの上質な素材で作られたものは、一着持っているとフォーマルな場面でも安心です。最近では、ドロップショルダーでゆったりとしたシルエットのものも増えており、カジュアルな着こなしにも取り入れやすくなっています。
Pコート(ピーコート)
「Pコート」は、19世紀末からイギリス海軍や漁師たちが着用していた、厚手のウール製ショートコートが起源です。風向きに合わせて左右どちらでも前にできる「ダブルブレスト」や、手を温めるために縦に切り込みが入った「マフポケット」が特徴的です。
デザインの最大の特徴は、大きく開いた襟(リーファーカラー)です。これは、艦橋や甲板で風の音に邪魔されずに号令を聞き取れるように、襟を立てて顔周りで音を反響させるための工夫でした。イカリのマークが刻印された大きなボタンも、Pコートを象徴するディテールです。
ショート丈で動きやすく、カジュアルで若々しい印象を与えます。デニムやチノパンとの相性は言うまでもなく抜群。学生が着るイメージが強いかもしれませんが、上質な素材のものを選べば、大人の休日スタイルにもしっくりと馴染みます。
ダッフルコート
「ダッフルコート」と聞くと、学生時代の甘酸っぱい記憶が蘇る方もいるかもしれませんね。そのルーツは、ベルギーのダッフル地方で作られた厚手の紡毛生地と、北欧の漁師たちの仕事着にあります。第二次世界大戦でイギリス海軍が採用したことで、広く知られるようになりました。
デザインの最大の特徴は、何と言っても「トグル」と呼ばれる、留め具です。手袋をしたままでも開閉しやすいように、という船乗りたちのための工夫から生まれました。大きなフードも特徴で、これはヘルメットや帽子のの上からでも被れるように設計された名残です。肩の「ストームパッチ(ショルダーヨーク)」は、雨の侵入を防ぎ、ロープなどによる摩耗から生地を守るための補強布です。
そのオーセンティックでどこか可愛らしい雰囲気は、男女問わず根強い人気があります。防寒性も高く、真冬の頼れる一着。カジュアルなイメージが強いですが、ロング丈で細身のシルエットのものを選べば、大人っぽく着こなすこともできます。
ダウンコート
冬の最強の防寒着と言えば、やはり「ダウンコート」でしょう。水鳥の胸に生えている、軽くて保温性の高い「ダウン」と、弾力性のある「フェザー」を中綿として使用したコートです。
特徴は、圧倒的な保温性と軽さにあります。ダウンボールと呼ばれる綿毛が空気の層をたっぷりと含むことで、外の冷たい空気をシャットアウトし、体温を逃がしません。その性能を示す指標として「フィルパワー(FP)」という単位が使われます。一般的に600~700FPで良質、700FP以上で高品質なダウンとされています。
かつてはモコモコとしたシルエットが主流でしたが、最近ではステッチの入れ方やカッティングを工夫した、スタイリッシュで都会的なデザインのものが豊富に揃っています。ウールやポリエステルなど、表地に様々な素材を使うことで、スポーティーな印象からエレガントな印象まで、多彩な表情を見せてくれます。
モッズコート
「モッズコート」は、1950年代に米軍で採用された極寒地用パーカー「M-51」が原型です。その後、1960年代にロンドンの若者文化「モッズ」のアイコン的ファッションアイテムとして人気を博したことから、この名で呼ばれるようになりました。
デザインの特徴は、裾が燕の尾のように二つに分かれた「フィッシュテール」です。これは、裾の紐を足に巻きつけて、風によるばたつきを抑えるための機能的なデザインでした。ボリュームのあるフードや、ライナーが取り外せる仕様になっているものが多いのも特徴です。カーキ色が定番で、武骨でメンズライクな雰囲気が魅力です。
ミリタリーテイストと機能性を両立したコートとして、カジュアルスタイルで絶大な支持を得ています。ざっくりと羽織るだけで様になり、こなれた雰囲気を演出できます。ライナー付きのものは、春、秋、冬と3シーズン活躍してくれるコストパフォーマンスの高さも嬉しいポイントです。
ノーカラーコート
その名の通り、襟(カラー)がない「ノーカラーコート」。首元がすっきりとしたデザインで、近年非常に人気が高まっています。
デザインの特徴は、そのミニマルで洗練された佇まい。襟がない分、顔周りがシャープに見え、フェミニンで上品な印象を与えます。Vネックラインのものや、丸首のクルーネックラインのものなど、ネックラインのデザインによっても印象が変わります。
最大のメリットは、インナーや小物とのコーディネートを楽しめる点です。タートルネックのセーターを合わせたり、デザイン性のあるブラウスの襟を見せたり、マフラーやストール、スヌードを巻いたりしても、首元がもたつかず、すっきりと決まります。アクセサリーが映えるのも嬉しいですね。きれいめスタイルはもちろん、カジュアルな装いに羽織るだけで、ぐっと女性らしい雰囲気をプラスできます。
ガウンコート
バスローブ(ガウン)のように、ボタンではなくベルトで前を合わせて着るのが「ガウンコート」です。ウエストをきゅっと結ぶことで、エレガントなシルエットが生まれます。
デザインの特徴は、そのドレープ感とリラックスした雰囲気。大きめの襟(ショールカラー)や、ゆったりとしたシルエットのものが多く、羽織るだけで優雅でこなれた印象を演出できます。素材も、ウールやカシミヤなどの柔らかく落ち感のあるものがよく使われます。
リラックス感とエレガントさを両立できるのが魅力で、大人の女性にこそ似合う一着。パンツスタイルに合わせればハンサムに、スカートやワンピースに合わせればフェミニンに着こなせます。ベルトの結び方を変えたり、前を開けてラフに羽織ったりと、着こなしの幅が広いのも特徴です。
【素材別】印象と機能性が変わる!コート生地の世界
コートの印象や着心地、そして価格を大きく左右するのが「素材」です。それぞれの素材が持つ特性を知ることで、デザインだけでなく、機能性や手入れのしやすさといった観点からも、自分に合ったコートを選べるようになります。ここでは、代表的な素材を「天然繊維」と「化学繊維・合成繊維」に分けてご紹介します。
天然繊維の魅力
動物や植物から採れる天然繊維は、それぞれが持つ独特の風合いと機能性が魅力です。古くから衣類に使われてきた、信頼と実績のある素材たちです。
ウール
羊の毛を原料とするウールは、冬のコート素材の王様と言っても過言ではありません。最大の特徴は、優れた保温性と吸湿性です。繊維が縮れている(クリンプ)ため、たくさんの空気を含んで暖かさを保ちます。また、湿気を吸って外に放出する性質があるため、汗をかいても蒸れにくく、快適な着心地をキープしてくれます。弾力性にも優れているので、シワになりにくく、型崩れしにくいのも嬉しいポイントです。
同じウールでも、織り方や加工によって様々な表情を見せます。代表的なものには、以下のような生地があります。
- メルトン:高密度に織り上げて表面を毛羽で覆った、フェルトのような生地。防風性が高く、非常に丈夫。Pコートやダッフルコートによく使われます。
- ツイード:太い羊毛を使った、ざっくりとした素朴な風合いの生地。耐久性が高く、カントリー調の温かみのある印象。
- フランネル:柔らかく起毛させた生地。軽くて肌触りが良く、「フラノ」とも呼ばれます。上品な印象で、チェスターコートなどにも使われます。
カシミヤ
カシミヤヤギの柔らかなうぶ毛から作られるカシミヤは、「繊維の宝石」と称される高級素材です。軽さ、保温性、そしてうっとりするような滑らかな肌触りが最大の特徴。ウールよりも繊維が細いため、同じ厚さでもより多くの空気を含むことができ、非常に高い保温性を発揮します。その上品な光沢とドレープ性は、見た目にも高級感を漂わせます。
非常にデリケートな素材なので、着用後のブラッシングや、連続での着用を避けるなど、丁寧な取り扱いが長持ちの秘訣です。特別な一着として、長く大切に着たいコートに選ばれることが多い素材です。
コットン
綿花から作られるコットンは、私たちにとって最も身近な天然繊維の一つです。優れた耐久性と通気性、吸水性が特徴で、肌触りも良く、扱いやすい素材です。染色性にも優れているため、カラーバリエーションが豊富なのも魅力。
コートに使われる代表的なコットン生地には「ギャバジン」があります。高密度に織られた綾織りの生地で、防水処理が施されることが多く、トレンチコートの定番素材として知られています。ライナーの有無にもよりますが、コットン製のコートは主に春や秋の羽織ものとして活躍します。
化学繊維・合成繊維の役割
石油などを原料に、化学的・人工的に作られる繊維です。天然繊維にはない、様々な機能性を持たせることができるのが強みです。
ポリエステル
現在、最も多く生産されている合成繊維がポリエステルです。非常に丈夫で耐久性があり、シワになりにくいのが最大のメリット。吸湿性が低いため、濡れても乾きやすく、カビや虫害にも強いという特徴があります。この扱いやすさから、ダウンコートの表地や裏地、中綿など、様々な部分で活用されています。
形状記憶性にも優れているため、プリーツ加工なども得意です。ただし、静電気が起きやすく、汚れを吸着しやすいという側面もあります。
ナイロン
ナイロンもポリエステルと並んで広く使われる合成繊維です。軽さと摩擦に対する強度はトップクラスで、伸縮性にも優れています。こちらも水をほとんど吸わないため、撥水加工を施してアウトドアウェアやスポーティーなコートの表地によく使われます。光沢感があり、つるりとした手触りが特徴です。
熱に弱いという性質があるため、アイロンがけなどには注意が必要です。
アクリル
「合成ウール」とも呼ばれることがあるアクリルは、ウールに似た、ふっくらと柔らかく、暖かい風合いを持つのが特徴です。発色性に優れているため、鮮やかな色のコートを作ることができます。また、ウールよりも軽くて丈夫で、虫やカビの影響を受けにくいというメリットもあります。
一方で、吸湿性が低く、蒸れやすい、毛玉(ピリング)ができやすい、静電気が起きやすいといったデメリットもあります。
素材の組み合わせと混紡のメリット
最近では、天然繊維と化学繊維の「いいとこ取り」をした「混紡」素材のコートも非常に多くなっています。例えば、「ウール50%、ポリエステル50%」といった具合です。
| 混紡の例 | 期待できるメリット |
| ウール × ポリエステル | ウールの風合いや保温性を保ちつつ、ポリエステルの強度や防シワ性をプラス。ウール100%よりも軽く、扱いやすくなります。 |
| ウール × カシミヤ | カシミヤの滑らかさと保温性を加えつつ、ウールによって生地にハリとコシが生まれ、価格も抑えられます。 |
| コットン × ナイロン | コットンの自然な風合いに、ナイロンの軽さや速乾性をプラス。より機能的なカジュアルウェアになります。 |
このように、異なる素材を組み合わせることで、それぞれの長所を活かし、短所を補い合うことができます。素材表記を見る際は、どんな繊維がどれくらいの割合で使われているかをチェックすると、そのコートの特性をより深く理解できますよ。
後悔しないコート選びのためのチェックポイント
お店で素敵なコートに出会って、いざ試着!そんな時に、どこをどう見れば良いのでしょうか。デザインや色だけでなく、いくつかのポイントを押さえてチェックすることで、「買ったはいいけど、なんだか着心地が悪い…」といった後悔を防ぐことができます。
サイズ感は最重要!試着で見るべき4つのポイント
コート選びで最も重要と言っても過言ではないのが「サイズ感」です。どんなにデザインが良くても、サイズが合っていなければ魅力は半減してしまいます。試着の際は、以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。
- 肩幅は合っているか
コートの肩の縫い目(ショルダーポイント)が、自分の肩の先端に合っているかを確認します。ジャストショルダーのコートの場合、ここがずれているとだらしなく見えたり、窮屈に感じたりします。ラグランスリーブやドロップショルダーの場合は、全体のバランスを見ましょう。 - 袖丈は適切か
腕を自然に下ろした時に、手首がちょうど隠れるくらいの長さが一般的です。長すぎると野暮ったく、短すぎると寒々しい印象になります。腕時計やブレスレットを見せたい場合は、少し短めでも良いでしょう。 - 身幅に余裕はあるか
これが意外と見落としがちなポイント。必ず、冬に着るであろう厚手のニットやジャケットなどを着た上から試着しましょう。見た目が良くても、腕が上がらなかったり、ボタンを留めるとパツパツになったりしては意味がありません。前ボタンを全て留めて、腕を動かしたり、体をひねったりして、窮屈でないかを確認します。 - 着丈のバランスは良いか
コートの裾の長さ(着丈)は、全体の印象を大きく変えます。自分の身長とのバランスを見ることが大切です。鏡で横や後ろからの姿もチェックし、スタイルが良く見える丈感を探しましょう。全身が映る鏡で、少し離れて見てみるのがおすすめです。
色で印象はガラリと変わる!定番カラーと選び方
コートの色は、コーディネートの土台となる重要な要素です。長く使うことを考えると、やはり定番カラーが着回しやすく重宝します。
- ブラック(黒)
最もフォーマルで、シックな印象。どんな色とも合わせやすく、引き締め効果も期待できます。冠婚葬祭などでも使える万能カラーですが、ホコリが目立ちやすいという側面も。 - ネイビー(紺)
黒に近い感覚で使えながら、より知的で誠実な印象を与えます。日本人の肌色にも馴染みやすく、ビジネスシーンでも好印象です。 - グレー(灰色)
上品で都会的なイメージ。明るいライトグレーから、深みのあるチャコールグレーまで、トーンによって印象が大きく変わります。他の色との調和が取りやすいのも魅力。 - ベージュ・キャメル(茶系)
柔らかく、優しげな印象を与えます。カジュアルにもきれいめにもマッチし、顔周りを明るく見せてくれます。特にトレンチコートの定番カラーとして人気です。 - カーキ・オリーブ(緑系)
モッズコートやミリタリー系のコートでよく見られるカラー。カジュアルでこなれた雰囲気を演出しやすく、意外と様々な色と合わせやすいです。
自分の手持ちの服にどんな色が多いかを考え、コーディネートしやすい色を選ぶのが失敗しないコツです。また、自分の肌や髪の色に似合う色(パーソナルカラー)を意識してみるのも一つの手。顔映りが良く、生き生きとした印象に見える色が見つかるかもしれません。
細部(ディテール)にも神は宿る
コートの品質は、細部にこそ表れます。パッと見のデザインだけでなく、細かい部分まで丁寧にチェックすることで、本当に質の良い、長く付き合える一着を見極めることができます。
- ボタン:安っぽくないか、しっかりと縫い付けられているか。ボタン一つでコートの高級感は大きく変わります。
- 裏地:着心地や滑りの良さを左右します。見えない部分ですが、丁寧な作りかを確認しましょう。脱いだ時にちらりと見える裏地がおしゃれだと気分も上がります。
- ポケット:手は入れやすいか、深さは十分か。フラップ(蓋)が付いているかどうかも、デザインの印象を変えます。
- 縫い目(ステッチ):縫い目がまっすぐで、間隔が均一か。糸のほつれがないかもチェックしましょう。
重さも意外と大事!長時間着ても疲れないコートとは
デザインや暖かさに気を取られて忘れがちですが、コートの「重さ」も非常に重要な要素です。お店で短時間羽織るだけでは気づきにくいですが、重いコートは長時間着ていると肩こりの原因になり、だんだん着るのが億劫になってしまいます。必ず試着の際に羽織ってみて、「この重さで一日過ごせるか」を意識してみてください。特に、車移動よりも徒歩や電車での移動が多い方は、軽さを重視するのも賢い選択です。
愛用コートを長持ちさせる!お手入れと保管方法
お気に入りのコートを見つけたら、できるだけ長く、良い状態で着続けたいですよね。そのためには、日頃のお手入れと、シーズンオフの正しい保管が欠かせません。少しの手間をかけるだけで、コートの寿命はぐっと延びるのです。
普段の簡単なお手入れ
一日の終わりに、ほんの少しだけケアをしてあげる習慣をつけましょう。
- ブラッシングをする
帰宅したら、まずは洋服ブラシでコート全体のホコリや汚れを払い落としましょう。特にウールやカシミヤなどの天然繊維は、繊維の目にホコリが入り込みやすいです。毛の流れに沿って、優しくブラッシングするのがコツ。これをやるだけで、汚れの蓄積を防ぎ、毛玉の発生を抑えることができます。 - 風通しの良い場所で陰干しする
着用後のコートは、汗や外気の湿気を含んでいます。すぐにクローゼットにしまわず、風通しの良い場所で半日~一日ほど陰干しして、湿気を飛ばしましょう。これにより、カビやニオイの発生を防ぎます。 - ポケットの中身を空にする
ポケットにスマートフォンや財布などを入れたままにしておくと、型崩れの原因になります。帰宅したら、必ず中身を全て出す習慣をつけましょう。
シーズンオフの正しい保管術
春になり、コートが不要になったら、次のシーズンまで正しく保管することが大切です。ここでの一手間が、来年も気持ちよく着るための鍵となります。
- 必ずクリーニングに出す
一見きれいに見えても、シーズン中に付着した汗や皮脂、目に見えない汚れは、虫食いやシミ、変色の原因になります。保管前には必ずクリーニングに出して、汚れを完全に落としてもらいましょう。 - ビニールカバーは外す
クリーニングから戻ってきたコートにかかっているビニールカバーは、輸送中のホコリよけのためのものです。通気性が悪く、湿気がこもる原因になるので、必ず外してください。 - 厚みのあるハンガーにかける
細い針金ハンガーは、コートの重みで肩の部分が型崩れしてしまいます。肩のラインに合った、厚みのある木製やプラスチック製のハンガーを使いましょう。 - 不織布のカバーをかける
ホコリや光(日焼け)からコートを守るため、通気性の良い不織布製の衣類カバーをかけて保管するのが理想的です。 - 防虫剤・除湿剤を忘れずに
ウールやカシミヤなどの天然繊維は、衣類害虫の大好物です。クローゼットには必ず防虫剤を入れましょう。その際、種類の違う防虫剤を混ぜて使うと化学反応を起こすことがあるので、注意が必要です。湿気対策として、除湿剤も併用するとさらに安心です。 - クローゼットに詰め込みすぎない
衣類同士がぎゅうぎゅう詰めになっていると、風通しが悪くなり、シワやカビの原因になります。ゆとりを持たせて収納しましょう。
シミや汚れがついた時の応急処置
食事中などにうっかりシミをつけてしまった!そんな時は、焦らず応急処置を。ただし、素材によってはNGな対処法もあるので注意が必要です。
- すぐにティッシュで押さえる
液体をこぼした場合は、こすらずに乾いたティッシュやハンカチで優しく押さえて、水分を吸い取らせます。 - 固形物は取り除く
食べ物などの固形物がついた場合は、まずティッシュなどでつまんで取り除きます。 - 水で濡らした布でたたく
水溶性のシミ(醤油、コーヒーなど)の場合、固く絞った布でシミの外側から内側に向かって、優しくトントンとたたきます。この時も、ゴシゴシこするのは生地を傷めるので禁物です。
あくまでこれらは応急処置です。自分で無理に落とそうとすると、かえってシミを広げてしまうこともあります。できるだけ早く、信頼できるクリーニング店に相談するのが最善策です。
【着こなし編】コートをもっと楽しむコーディネート術
せっかくのお気に入りのコート、いつも同じ着こなしではもったいない!ここでは、特定のアイテムを挙げるのではなく、手持ちの服で実践できる、コートの着こなしをワンランクアップさせる「考え方」のヒントをご紹介します。
コートとボトムスの黄金バランス
コートスタイルをおしゃれに見せる鍵は、全体の「シルエット」にあります。コートの丈やボリューム感に合わせて、合わせるボトムスを選ぶのがポイントです。
- ロングコート × 細身パンツ
すっきりとしたIラインシルエットが作れる王道の組み合わせ。縦のラインが強調されて、スタイルアップ効果が期待できます。チェスターコートやステンカラーコートなど、きれいめなコートと好相性です。 - ロングコート × ワイドパンツ or ロングスカート
ボリュームのあるアイテム同士を合わせる、上級者向けの着こなし。コートの前を開けてインナーを見せたり、ベルトでウエストマークしたりすると、メリハリがついてバランスが取りやすくなります。 - ショートコート × ワイドパンツ or フレアスカート
重心が上にくるショート丈のコートには、ボリュームのあるボトムスを合わせるとバランスの良いAラインシルエットが完成します。Pコートやダッフルコートなどで試したい組み合わせです。 - ショートコート × 細身パンツ
コンパクトでアクティブな印象のスタイル。足元がすっきり見えるので、スニーカーともブーツとも相性抜群です。
マンネリ打破!小物使いで印象チェンジ
コートの印象は、合わせる小物で大きく変えることができます。「いつも同じに見えちゃう…」と感じたら、ぜひ小物の力を借りてみましょう。
- マフラー・ストール
顔周りに色や柄をプラスするだけで、全体の雰囲気が華やぎます。コートが無地なら柄物のストールを、コートが柄物なら無地のマフラーを、といったようにバランスを考えると上手くいきます。巻き方を少し変えるだけでも、新鮮な印象になりますよ。 - 帽子
ニット帽を合わせればカジュアルに、ベレー帽ならフレンチシックに、ハットを合わせればマニッシュにと、帽子はテイストを手軽に加えられる便利なアイテムです。 - バッグ
コートのテイストとバッグのテイストを合わせるのが基本ですが、あえて外してみるのもおしゃれです。例えば、きれいめなチェスターコートに、あえてカジュアルなトートバッグを持つ、などです。
色合わせの基本「3色以内」でまとめる
コーディネートに使う色が多くなりすぎると、全体がまとまりなく、ごちゃごちゃした印象になりがちです。そんな時は、「コーディネート全体の色を3色以内に収める」ことを意識してみてください。コートの色をベースに、インナー、ボトムス、小物を同系色や相性の良い色でまとめるだけで、ぐっと洗練された印象になります。
意外と見られている「コートの脱ぎ方・持ち方」
素敵なコートを着ている人は、その所作も美しいものです。レストランや友人宅など、室内でコートを脱ぐ際の立ち居振る舞いも、大人のマナーとして心得ておきましょう。
- 脱ぎ方:片方の肩から袖を抜き、もう片方の袖も抜きます。その後、裏地が表になるように半分にたたみ、腕にかけるとスマートです。こうすることで、外側の汚れを他につけてしまうのを防げます。
- 置き方:レストランなどで預かってもらう場合は係の方にお任せします。椅子に置く場合は、背もたれにふわりとかけるか、たたんで自分の隣の席や荷物置きに置きます。
- 持ち方:脱いだコートを腕にかける際は、ぐしゃっと掴むのではなく、丁寧にたたんでかけると、見た目が美しいだけでなく、シワ防止にもなります。
コートに関するQ&A
最後に、コート選びや付き合い方について、多くの方が抱く疑問にお答えします。
Q. コートって何年くらい着られるもの?
A. 一概には言えませんが、素材の質、縫製の丁寧さ、そして何より着用後の手入れによって大きく変わります。ファストファッションの比較的安価なコートであれば2~3年が目安になるかもしれませんが、上質な素材を使い、丁寧に作られたコートであれば、適切なお手入れをすることで5年、10年、あるいはそれ以上着続けることも十分に可能です。高価なコートは、それだけ長く付き合える可能性を秘めている、と考えることもできます。
Q. 流行りのコートを買うべき?定番を選ぶべき?
A. これは永遠のテーマかもしれませんね。どちらにもメリットがあります。
- 流行りのコート:着るだけで今っぽい、おしゃれな雰囲気を演出できます。気分も上がり、ファッションを純粋に楽しむことができます。ただし、数年後には古く感じてしまう可能性もあります。
- 定番のコート:トレンチコートやチェスターコートなど、長年愛されてきたデザインは、流行り廃りがなく、長く安心して着られます。着回し力も高く、一着あると非常に重宝します。
おすすめの考え方は、「まずは万能な定番コートを一着揃え、その上で余裕があれば、トレンド感のある二着目を検討する」というものです。自分のクローゼットと相談しながら、ベストな選択をしてください。
Q. コートは何着くらい持っていると便利?
A. これもライフスタイルによりますが、理想を言えば、シーン別に複数あると非常に便利です。例えば、以下のような組み合わせが考えられます。
- ビジネス・フォーマル用:きれいめなウールのチェスターコートやステンカラーコート
- 普段のカジュアル用:動きやすいPコートやダッフルコート、モッズコート
- 真冬の防寒用:とにかく暖かいダウンコート
- 春・秋の端境期用:薄手のトレンチコートやコットンコート
とはいえ、いきなり全てを揃えるのは大変です。まずは、自分が最もよく着るシーンを想定し、そこで活躍する一着を見つけることから始めましょう。そこから少しずつ、ワードローブを充実させていくのが楽しいですよ。
まとめ
コート選びの旅、お疲れ様でした。たくさんの種類や素材、専門用語が出てきて少し難しく感じたかもしれませんが、大切なのは「自分がどんな風に、どんな場所で、そのコートを着たいか」を具体的にイメージすることです。コートは、寒い冬を一緒に乗り越える、頼もしい「相棒」のような存在。だからこそ、機能性、デザイン、着心地、すべてにおいて納得のいく、心から「好き」だと思える一着に出会ってほしいのです。
この記事でご紹介した知識が、あなたのコート選びの一助となれば、これほど嬉しいことはありません。ぜひ、様々なコートを試着して、その違いを肌で感じてみてください。そして、あなただけの最高の相棒を見つけて、今年の冬を、そしてこれからの冬を、もっと暖かく、もっとおしゃれに楽しんでくださいね。

